生産性、コスト、環境を見直す!
業務改善の3つの視点と具体的な手順
こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
業務改善は、業務の中に潜む「ムリ、ムダ、ムラ」を改善し、コスト削減や生産性向上を実現するために行われます。今回は業務改善を行う具体的な目的、押さえておくべき3つのポイント、改善の手順についてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
事前準備が大切!業務改善を実施する前にすべきこと
業務改善とは、業務における「無理」「無駄」「ムラ」を排除することを指します。これらが無くなれば業務を今まで以上に円滑に回すことができ、ひいてはコストの削減にもつながります。
そんな業務改善を実施するにあたり、まず行うべきことは「目的・目標を明確にすること」です。業務改善は、その業務に関わる全ての従業員で行います。ひとりで自由に試行錯誤するわけではないので、あらかじめ全従業員の認識を統一させ、協力体制を作る必要があるのです。「業務内のどの作業を」「どのような方法で」「誰が」「いつまでに」「どうするのか」と細かく目的・目標を決めることで、全従業員で一丸となって業務改善を進めることができます。
経費削減と業務改善の違い
混同して考えられがちな経費削減と業務改善ですが、この2つは別ものです。
経費削減は「コストダウン」を目的としています。
経費や人件費、通信費などにおいて現状より価格を抑える手段を検討できれば、そこから実行まではスピーディーです。さらに、すぐに数字となって結果があらわれます。
一方で業務改善はコストのみではなく、ヒト・モノ・カネの全てが効率よく循環するために問題点の洗い出しから実行までを時間をかけて行います。ただし、業務改善を実行しても思った通りの結果が出ない場合もあります。
とは言え、「業務改善の結果コストダウンが生まれた」「コストを削減した結果、業務改善につながった」という例もあります。2つはイコールではないものの密接した関係であり、どちらかを実行すればどちらかに変化があらわれることは珍しくありません。
業務改善によって得られる効果
業務改善によって得られる効果は多くあります。そのうちのひとつが、生産性の向上です。
多くの企業には、「昔から何となくの習慣」で行われているルーティーンが少なからずあります。ルーティーンが結果に結びつくなら良いですが、そうでない場合は時間の無駄になってしまいます。
不必要なルーティーンをなくせば、従業員はその時間を営業や別業務にあてることができます。わずか5分程度のルーティーンであっても、毎日行えば1週間で25分、1年間で18時間です。18時間も営業に費やす時間が増えれば、企業利益にも大きな差が生まれます。
また業務改善で無駄な仕事が減れば、コストの削減や従業員のストレス軽減にもつながり、ロイヤリティ向上も実現可能です。
業務改善の目的
業務改善を行う際は、目につく問題点をとりあえず改善するのではなく、目的を定めて特に重要な問題点を探すことが大切です。ここでは、業務改善を行うことで達成できる3つの目的をご紹介します。
生産性向上
業務改善の目的のひとつとして挙げられるのが、生産性の向上です。生産性向上を達成するためには、人が行う業務のシステム化や従来の業務フローの見直し、設備投資などを行います。これらの施策を行ってひとつの業務にかかる時間を短縮できれば、余剰時間や余剰人員を活用して業務内容の拡大が可能です。
コスト削減
コスト削減も、業務改善の目的のひとつです。例えば紙の情報管理を見直してデジタル化すれば、印刷代や資料整理用のファイル、保管場所などのコストが削減できます。離れた拠点にいるメンバーが会議に参加する場合は、Web会議システムを導入することで出張にかかる移動費や移動時間を削減可能です。コスト削減が実現すれば、その分の資金を新事業に投資したり、福利厚生などで従業員に還元したりできます。
労働環境の改善
他に業務改善の目的として挙げられるのが、労働環境の改善です。例えば、業務を「見える化」することで労働環境の改善が図れます。業務の負荷が特定の部署や従業員に偏っていないか、無駄な作業が発生していないかなどを見える化することで、従業員の業務負担を軽減します。これにより長時間労働を防止し、従業員のモチベーションを上げることが可能です。
業務改善の成功に欠くことのできない「QCD」
業務改善を行っていくうえで、最も重要なことは何だと思いますか。そもそも、業務とはさまざまな商品やサービスを生み出し、提供することによって、利益を生み出すことです。
そんな業務を改善する上で大切なのは、商品やサービスの質を上げていきながら、コストを削減し、最終的に自社の商品やサービスを届けるという3つのポイントだと言われています。この品質(Quality)、コスト(Cost)、届ける(Delivery)の「QCD」を考えることが、業務改善の成功に向けて、最初に行うべきミッションでしょう。
では、ここからはこの3つのポイントを改善するには何をしていけばいいのかをみていきましょう。
混同されがちな経費削減と業務削減の違いとは?
業務改善や効率化において、重要な要素となるのが「経費削減」と「業務削減」です。同じ「削減」ですので混同されることも多いですが、経費削減の場合にはコストのみを対象としています。具体的には家賃や電気代、通信費などを削減することが経費削減にあたります。
それに対して業務削減は、作業効率を高めたり外注化するなどして、よりスムーズに業務を遂行することを目的としているものです。つまり、トータルで業務改善を実現するためには欠かせない要素なのです。
問題点を把握する
品質、コスト、自社の商品やサービスを届けるという業務を改善するには、まずは問題点の洗い出しを行い、どこに問題があるのかを把握していく必要があります。
企業や組織が大きくなればその分だけ、さまざまな問題点が発生します。具体的には仕事の振り分けが適切ではなく、一部の従業員に負担が集中していたり、業務を行う上で不要なステップや無駄な作業に時間を割かざるを得なくなっている、といった具合です。
業務全体を通して改善を行うには、こういった問題点をひとつひとつ把握することからはじめる必要があります。
とはいえ、毎日こなしている業務は多くの従業員にとって「当たり前」となっており、なかなか課題が見えにくい状態となります。
そこで、わかりやすく問題点を把握するために情報収集を実施してみることをおすすめします。ある程度の規模の組織になると、属している部署や係、またはポジションによって置かれている状況が異なっています。そして、当然起きている問題、起こりえる問題も別となるはずです。なので、組織全体を見渡しながらの情報収集を迅速に行うことが大切です。
関連記事はこちら業務を効率的に進めよう!プロジェクト管理ツールを導入するメリット
社内の情報共有を徹底する
常に社内全体の情報共有を意識することも重要なポイントです。それぞれの社員間、部署間でも情報を共有することではじめて見えてくるものも少なからずあるでしょう。
例えば、同じ業務を行っている社員でも、その進め方がまったく違っている可能性もあります。その結果として、成果に差が出ているようなら、改善することで業務の効率化が期待できるでしょう。
社内の情報共有を徹底し、仕事を「見える化」することではじめて、改善が必要な問題点が見えてくるケースもあるのです。
社内のみでなく他社との比較を行う
社内の社員間、部署間での比較も大事ですが、市況や競合他社と自社を比較することも重要です。自社内で「正解」としていた業務方針やシステムも、他社と比較してみると「弱点」となっていた、というケースもあるものです。比較しなければ見えてこない問題点もあると認識しておきましょう。
常に他社との比較ばかりする必要はありませんが、業界の中における自社を客観的に確認、把握することも業務改善を成功させるためには欠かせないステップです。
業務改善で押さえておくべき3つのポイント
業務改善を効率良く行うためには、どの業務をどのように改善するか考える必要があります。ここでは、改善点を探す際に役立つ3つのポイントをご紹介します。
1.なくす
最初に、なくせる業務がないかを考えます。毎日行っている業務の中には、必ずしも行わなくていい業務が意外と隠れています。例えば、活用されないデータ入力業務や誰も見なくなった日報の作成などは無駄な業務に当たるでしょう。また、社内でやるよりも外注したほうが効率的な業務があれば、社内からその業務をなくすことも選択肢のひとつです。
2.減らす
次に、回数を減らせないか、あるいは時間を短縮できないかを考えます。例えば、不定期にちまちま発生する業務があれば、1ヶ月ごとにまとめて処理することで回数を減らすことが可能です。また、社内共有用の資料は社外に出すものと比べると重要度が低いため、時間配分を減らす対象になります。一度に処理できる複数の業務が散らばっていないか、重要度が高くないのに時間をかけている業務はないかという視点で見直しましょう。
3.変える
業務をなくすことも、回数や時間を減らすことも難しい場合は、業務内容を変えることで改善につながらないか検討しましょう。業務の手順を変える、現状の従業員のスキルに合わせて担当者を変えるなどして時間短縮できないかを考え、業務効率化を目指します。また、業務を一元管理できる専用のシステムを活用し、業務の効率化を狙う方法もあります。
業務改善の手順
業務改善は、「見える化する」「優先順位をつける」「マニュアル化する」の3つの手順で進めます。ここでは、手順の具体的な内容についてご紹介します。
1.業務の見える化を行う
まずは業務の「見える化」を行い、全ての業務を洗い出して細かくリスト化します。そうすることで、一人の従業員が抱えるムリな仕事、従業員ごとに偏りがある仕事量のムラ、ムダな業務といった改善点を発見できます。
見える化を行う際は、ひとつの部署だけではなく会社全体の業務を見渡すことも有効です。全体の流れを見えるようにしておけば、部門を超えた業務の流れを把握できるため、大規模な業務改善にもつなげられます。
2.業務改善の優先順位をつける
次に、見える化で洗い出したムリ、ムラ、ムダに優先順位をつけ、すぐに改善しなければならない業務を把握します。優先順位をつける際は、生産性向上やコスト削減の効果がどれくらいあるか、改善の難易度はどのくらいかなどの視点を意識しましょう。それぞれの業務の改善方法は、上記にてご紹介した3つのポイント「なくす」「減らす」「変える」の視点を意識して検討します。
3.マニュアル化する
業務内容を改善したら、業務フローをマニュアル化します。マニュアルを作ることで、従業員ごとのスキル差を埋め、担当者変更時のスムーズな引き継ぎに役立てることが可能です。他にも、不正を発見・防止したり、予期しない作業フローが取られていないかを調べたりする際にも役立ちます。
また、マニュアル化したら、その手順を自動化できないかも検討しましょう。PC作業であれば、専用のソフトを導入することで繰り返し発生するルーチンワークなどを自動化できます。手順を自動化できれば、大幅な作業スピードアップとコスト削減が可能です。
4.ツールを使ってオンライン上で情報共有する
いきなり情報共有と言われても、何をしたらいいのかわからないものです。そこで、まずは情報共有ツールをうまく利用して、情報を共有することからはじめてみましょう。 情報共有ツールを活用すれば、オンライン上であらゆる業務に必要な情報を共有することができるため、社員が自由にアクセスし、活用が可能です。
紙の書類で情報の管理を行っているのであれば、たとえば何かの資料をひとつ探すにしても、まずはどこに保管されているのかを調べ、取りに行く必要があります。また、同時に複数人で閲覧することも困難です。それに対して、オンライン上で情報共有がされていれば、デバイス上で検索をかけるだけで、簡単に目的の資料の閲覧が可能です。もちろん、複数人での同時閲覧も可能ですので、業務上の無駄を大幅にカットできます。 最近は、オンライン上でさまざまな情報が共有可能なツールが数多く登場していますので、組織の規模や目的に合わせて選びましょう。
5.ワークフロー管理システムやERPを導入する
業務改善の成功を実現するためには、色々な点について総合的に考えていく必要があります。もちろん、各業務に対してひとつひとつ問題を洗い出し、解決していくこともできます。ですが、先ほどもご紹介した情報共有やタスク管理などを効率よく行うことのできるシステムを導入することによって、一度に複数の問題をまとめて解決できるケースもあります。
それがワークフロー管理システムやERPです。社内のあらゆる業務を一括してシステム化することによって、業務上の無駄を省き、効率化が可能となるのです。
今日では、多くの企業や組織でこれらのシステムが導入されており、業務改善の成功においては大きなポイントのひとつとなっています。
改善案のコツと注意点
業務改善の方法は企業によってさまざまですが、基本は業務の一元化・可視化によって問題点を洗い出し、不必要な業務はカットまたは外注を検討します。
注意しなくてはならないのは、不必要な業務をカットまたは外注することで、一部の従業員の不満増加につながる可能性があるという点です。
業務効率化によって業務を減らせば、その仕事をしていた従業員は社内であぶれてしまいます。さらに外注で頼んだ仕事が想像以下の仕上がりだった、という場合には内部での手直しが必要となり、かえって仕事が増えることも考えられます。
このように、業務効率化のための策が一部の従業員には負担となる可能性もあるのです。
業務改善は正しい方法で実施しよう!
業務を今まで以上に円滑に進めるためには、業務改善を行うことが大切です。目的・目標を明確にしたのち、現状を把握、そして問題点と改善案の原因を洗い出すことで、適切な改善案を導き出せます。
「工数を削減したいけど、どうすれば良いのか分からない」「コストがかかりすぎていて、なかなか黒字にならない」などの悩みを抱えている方は、ぜひ今回ご紹介した進め方と方法を参考に、業務改善を行ってみてください。
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- 株式会社ラクス「楽楽販売」コラム編集部
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