経理業務の電子化について。電子化の必要性とメリットとは?
こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
経理業務では日々多くの書類を扱います。従来の業務から脱却し電子化できれば、さまざまなメリットを得られるでしょう。特に2022年以降、経理業務の電子化においては「電子帳簿保存法」への対応が求められ、業務負荷が軽くなる一方で注意点もあります。これらの点も踏まえ、経理業務の電子化について詳しく解説していきます。
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この記事の目次
経理業務の電子化が必要な理由とメリット
経理業務では、請求書や領収書、経費精算書といった多くの書類を使用します。以前はそれらの書類を紙で作成・保管することが主流でしたが、近年電子化の流れが進んでいます。
ここでは、経理業務を電子化する必要性とメリットについてご紹介します。
業務効率化につながる
経理業務に関連する書類を紙で作成・保管する場合、電子化するケースと比べて時間と手間がかかります。
例えば紙に手書きで記入する場合、書き損じが発生すればまた一から作成しなければなりません。PC等で作成した書類を印刷して対応していても、同様にプリントアウトのための用紙を用意しなければならないうえ、そもそもプリントアウトするという手間が発生してしまいます。
また請求書などの郵送する場合は、封筒に入れて宛名を書き、切手を貼ってポストに投函するといった段取りが必要です。加えて、書類の原本はバインダーに綴り、キャビネットの所定の場所に収納しなければなりません。後日書類の確認が必要になった際も、膨大な保管済みの紙書類の中から目的の一枚を探す手間が発生します。
一方で書類の電子化が実現すると、作成や発送、保管の手間が不要になり、書類を探し出すスピードもアップします。用紙やプリンター、封筒、バインダー、キャビネットなどの備品管理の業務もカットできるでしょう。
このように今まで当たり前のように行っていた事務作業は、ほとんど要らなくなるかもしれません。一つひとつの作業は小さくみえても、まとめると大幅な業務効率化が期待できるでしょう。
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リモートワークへの対応ができる
コロナ禍以降、リモートワークが浸透しましたが「経理書類の作成や発行、印鑑の押印のためだけに出社しなければならなかった」というケースも見られました。紙で経理業務をしている限り出社や郵送のタイムラグなどの制約が付きまとうため、リモートワークへの対応は不完全といわざるをえません。
経理業務の電子化が実現すれば印刷、押印、発送という作業は基本的に不要になります。業務をする場所を選ばずすむため、自宅や別拠点からでもリモートで対応ができるようになります。
コストの削減
紙の経理業務から脱却すると、さまざまなコストの削減も期待できます。
例えば、紙の伝票、プリントアウトのための用紙、封筒、切手、バインダー、キャビネット、書類保管のためのスペースといったものを購入するための費用が削減できます。
さらに、書類作成・発送・保管・検索のための作業効率も上がるため、経理にかかる人件費も抑えられる可能性があります。
システム等への初期投資が必要になる場合もありますが、長期的にみてどちらが費用対効果が高いのかを確認しておくことが大切です。
人的ミスの軽減
経理業務は、ときに経営等にも関わる重要な業務です。従業員一人の小さなミスが大きなトラブルに発展してしまうこともあります。経理担当者としては、膨大な枚数の紙の経理書類を目視でチェックするのは大変な作業で、ヒューマンエラーを100%防ぐのは困難でしょう。
さらに、紙の場合は書類が最新のものかどうかの判断がつきにくいという短所もあり「更新されているのに古い書類を使ってしまう」といったようなミスにつながることも考えられます。
そこで経理業務を電子化すれば書類の記入漏れやミスを発見しやすくなり、人的な書類の不備を避けられるようになります。加えて書類データに更新記録が残るため、常に最新の書類を扱うことも可能になります。
電子帳簿保存法への対応も必須
電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿書類を電子データで保存することを特例として認める法律です。
「特例として認める」とあるように、1998年に初めて施行された当初は紙媒体で保管することが前提で、特別な条件をクリアすることにより電子データでの保存が許されるというものでした。しかしその後のIT化やペーパーレス化の流れに伴い、電子保存をより一層促すための緩和が重ねられています。
ここでは、経理業務の電子化に深く関わる電子帳簿保存法についてご紹介します。
2022年の法改正のポイント
電子帳簿保存法の2022年1月の改正により、企業が電子化に取り組みやすいように要件が緩和されました。
緩和のポイントは主に以下の3点です。
- 電子保存に必要であった税務署長による事前承認制度が廃止された
- 書類のスキャナ保存の際の処理要件が緩和されたこと
- 電子化した後の書類原本は廃棄してもよくなった
一方で、改正に伴い義務化されたこともあります。それは、メールやWebサイトからダウンロードした国税関係書類は、紙に出力して保存することができなくなったという点です。従来は紙に出力して保管していた書類であっても、原則としてオリジナルの電子データのまま保存することが義務付けられるようになりました。これにより、これまで電子データの保存体制が整っていなかった企業にとっては、対応が急務となっています。
改正に対応するには経理業務のプロセスを変更しなければならないため、企業の準備期間として2年間(2023年12月末まで)の猶予期間が設けられているため、未対応の場合はこの期間中に体制を整えておく必要があります。
対象となる書類・対象にならない書類
電子帳簿保存法の対象となる書類は、国税関係の帳簿や書類です。下記に具体的な書類を挙げています。
国税関係帳簿
国税関係帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳 など | 電子帳簿保存 | |
国税関係 書類 |
決算関係書類 | 貸借対照表、損益計算書、棚卸書 など | |
取引関係書類 | 領収書控え、請求書控え、発注書控え など | ||
領収書、請求書、発注書 など | スキャナ保存 | ||
電子取引 | 電子決済、メールデータ、EDI取引 など | 電子取引にかかるデータ保存 |
なお、手書きで作成した帳簿や書類は対象となりません。電子化が義務付けられても、手書きの帳簿書類まで電子化することは認められていないため注意してください。
電子帳簿保存法改正の注意点
書類の電子化にあたり「紙媒体での一元管理」「不正行為へのペナルティ」の2点に注意が必要です。
PDFなどの書類を紙にプリントして保存することができなくなったため、これまで保管していた紙の書類とは別の媒体で電子化した書類を保存しなければなりません。つまり紙と電子の経理業務が混在することになり、現時点では紙媒体での一元管理はできないものと考える必要があります。
さらに、法改正により保存要件は緩和された一方で、不正行為にはペナルティが課されることになりました。電子取引やスキャナの記録に改ざんや隠蔽といった不正行為が見られた場合、申告漏れとして10%の重加算税が加わるため、データに不備がないよう十分注意して取り組みましょう。
システム導入で経理業務を電子化!
経理業務の電子化にあたっては、法改正に対応しているシステムの導入をおすすめします。
システムにはさまざまな種類があり、従来の経理システムが電子帳簿保存法に対応していない場合はぜひ導入を検討してみてください。
システムの主な機能
電子帳簿保存法に対応しているシステムには、データを改ざんしていないことを証明するタイムスタンプの付与機能や、訂正・削除ができない機能が備わっています。
加えて、取引先・日付・金額といった情報を保存・検索できる機能や、画像にある文字を認識してデータ化する機能(OCR)、スキャナ保存の要件を満たしたスキャン機能などもあります。
例えば、販売管理システム「楽楽販売」は、電子帳簿保存法に対応したシステムのひとつです。オプション機能により、発行・受領した書類へのタイムスタンプの付与ができます。保存ファイルを可変できない専用データストレージにて長期保存することなども可能になります。
2023年3月からは新たにスキャナ保存の要件にも対応できるようになり、より包括的に電子帳簿保存法に対応ができるようになりました。
参考:「楽楽販売」が 「電子帳簿保存法オプション」を提供開始
参考:「楽楽販売」が電子帳簿保存法におけるスキャナ保存への対応開始
電子帳簿保存システムのチェックポイント
電子帳簿保存に対応したシステムの導入を検討する際、どのような点をチェックしておけばよいのでしょうか。ここでは、主なポイントをご紹介します。
対応できる書類
まず、システムで対応できる書類を確認しておきましょう。
大きく分けて「書類形式を問わず対応している電子保存専用システム」「請求書を中心に対応している請求書受領システム」「領収書を中心に対応している経費精算システム」の3つが存在します。
自社の電子化の目的に合わせたシステムを選びましょう。
例えば、「あらゆる帳票類をまとめてペーパーレス化したい」なら、電子保存専用システムがおすすめです。請求書や領収書といった経理書類以外にも、契約書や送り状といった多様な帳票類の電子保存が可能です。
「大量に受領する請求書を中心に電子化したい」なら、請求書受領システムが向いています。紙で受け取った請求書をOCR(文字認識機能)で読み取り、データ化・保管することが可能です。
この場合、「JIIMA認証」という法的要件をクリアしたソフトとして認められているものを使うようにしましょう。
「経費精算をスムーズにするため、領収書を電子化したい」といった場合は、経費精算システムの導入がおすすめです。精算を申請する従業員と経理担当者の双方の業務負荷を軽減するシステムとなっています。
保存要件への対応
スキャン保存の要件をクリアするには、スキャンした書類データへのタイムスタンプの付与か、訂正・削除の履歴を残す機能が必要です。
スキャン時に自動でタイムスタンプが付与される機能を搭載したシステムを選べば、後から個別にタイムスタンプを付与する手間が省けるうえに、タイムスタンプの記録漏れも防げるでしょう。
データの自動入力機能
電子帳簿保存法では、素早く検索できることが要件として求められます。取引先や取引した年月日、金額などから検索できる機能が必要です。
しかし、書類の内容を手作業でシステムに入力するのは相当な負担になります。スキャンなどで取り込んだ書類画像から文字を認識してテキスト化するOCR機能がついたシステムなら、スピーディーに適切な処理を施すことができるためおすすめです。
まとめ
ITテクノロジーの進化やペーパーレス化、リモートワークの推進といった面から、経理業務の電子化の流れは加速しています。2022年1月からは電子帳簿保存法の要件も緩和され、より一層、電子化に取り組みやすくなったといえます。まだ電子化の取り組みに乗り出せていない企業は、2023年12月末の猶予期間終了までに準備を進めておくとよいでしょう。
経理業務の電子化には、電子帳簿保存法に対応したシステムが役立ちます。法的要件に則した機能によって法を遵守することはもちろん、自動化機能や検索機能などにより業務の大幅な効率化が期待できます。
ぜひ、自社のニーズを叶えるシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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記事執筆者紹介
- 株式会社ラクス「楽楽販売」コラム編集部
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