DXとはただのIT化ではない!日本でDXが急がれる理由とは
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近年、日本企業は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が急務とされています。自社に必要という認識はありながら、「DXとは何?」の問いかけに困る方もいらっしゃるでしょう。今回は、DXの基礎知識と取り組むにあたっての注意点を解説します。
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近年、日本企業は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が急務とされています。自社に必要という認識はありながら、「DXとは何?」の問いかけに困る方もいらっしゃるでしょう。
今回は、DXの基礎知識と取り組むにあたっての注意点を解説します。
DXとは
DXは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略語です。単純に略すると「DT」となるのが自然ですが、英語圏ではTransformationを「X-formation」と表記することから、日本でも一般的に「DX」と呼ばれるようになりました。
Transformationは「状態の変化」を表す英単語ですから、DXは「デジタルで変革すること」と直訳することができます。
DXという用語の出どころは、2004年に発表されたスウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授の論文にあります。論文では「デジタル技術によって人々の生活やビジネスがより豊かに変化していく」という概念としてDXを表現しています。
DXの概念はその後よりビジネスの現場に沿った解釈をされるようになり、「デジタル技術を活用することで企業のビジネスを一変させ、新たな時代を生き残る競争力を得ること」という意味合いで浸透していきました。
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日本企業にDXが求められている背景
メディアなどでしばしば「日本企業はDXが遅れている」といった文脈を目にすることがあります。その背景には、下記の4つのような状況があるからといわれています。
レガシーシステムによる弊害
経済産業省が平成30年9月に発表したDXレポートでは、「レガシーシステム問題」がDX推進が遅れている大きな理由と指摘しています。
レガシーシステムとは「レガシー=遺産」、つまり老朽化・複雑化・肥大化・ブラックボックス化してしまっているような、企業で古くから使用している基幹システムのことを指します。
これにより、「維持管理費がかさむ」「貴重なIT人材が保守運用に時間を取られてしまう」「システムの運用が属人的で継承が難しい」といったさまざまな弊害につながっているとの調査結果が示されています。
さらに、本レポートによると「自社にレガシーシステムが存在する」と答えた企業が約8割、うち7割の企業が「レガシーシステムがDX推進を滞らせている」と回答しています。
このことから、実に多くの企業がレガシーシステムへの課題を自覚していることがわかります。
2025年に「崖」を迎える
DXレポートには、レガシーシステムによる弊害によって多くの日本企業が「2025年の崖」を迎えると記されています。
2025年時点で21年以上稼働している基幹システムは約6割を超え、IT人材の不足がおよそ43万人に達するとされています。さらには、2025年までに企業がレガシーシステム問題を解決しないまま放置すると、年間最大12兆円の経済損失が生じてしまうとの推察もされています。
「壁」でもなく「崖」という表記は険しく切り立った場所をイメージさせ、DXを実現できないことで日本経済が音を立てて崩れていくような切迫感が伝わってきます。
ハンコ文化とデジタル社会との乖離
今般のコロナ禍によって、古くから日本に根付いているハンコ文化が、デジタル化社会と大きく乖離していることが明らかになったといえます。
リモートワークにはデジタルコミュニケーションが欠かせない状況の中、契約書や決算書類の承認のためだけに出社してアナログ押印をしなければならなかったという人もいるのではないでしょうか。
この事象に垣間見られるように、日本人は長年続いているルールを抜本的に変えるのが苦手なようです。商習慣にとらわれない意識改革を行い、特に組織の経営層がDXに対するビジョンを掲げ、全社を率いて取り組まなければ、DXの推進は難しいでしょう。
事業継続への使命
コロナ禍のようなパンデミックに限らず、天災や地震などの自然災害が多発する日本において、企業の存続や社会的使命を果たすためにはあらゆる環境下での事業継続を計画しておかなければなりません。
基幹システムをクラウド化して業務改革を行い拠点に縛られない働き方を実現するといったDX推進は、現代のBCP(事業継続計画)においても急務といえます。
DXとよく似たワードとの関係性
ここまででご紹介したように、DXはデジタル技術の活用によりビジネスモデルを大きく変化させることです。
DXの他にも、ビジネスシーンにおいてデジタル化を説明する際に登場する用語はいくつかあります。全て同義語のように使われていることもありますが、それぞれ明確な違いがあります。ここでは混同しがちなものを4つ挙げてみました。
IT化
すでにビジネス用語として一般化している「IT化」は、DXとどう異なるのでしょうか。
「IT」はInformation
Technologyの略語であり、コンピューターとネットワークを活用した情報技術を意味します。そして「IT化」とは、手間のかかるアナログ作業をITによってデジタル化し、業務効率化やコスト削減を図ることを指します。
例えば、手紙がメールに、営業資料がワードやエクセルに置き換わったというような「アナログ業務のデジタル化」を表現する際に使用します。つまりIT化はDXの手段のごく一部を指す用語です。
デジタイゼーション
デジタイゼーション(Digitization)とは、ツールやシステムを用いて既存ビジネスをデジタル化し、業務効率の向上を図ることです。
例えば、伝票書類の電子化やルーティーン作業の自動化で作業効率を高めることはデジタイゼーションに当てはまります。上記のIT化と同義語として解釈できるため、デジタイゼーションもDXの手段の一部を表現しています。
デジタライゼーション
デジタライゼーション(Digitalization)とは、デジタル技術を用いてビジネスの仕組みそのものを変革させ、新たな価値を創出することです。
例としては、レンタルCD/DVDサービス業界が、デジタライゼーションによってVOD(ビデオオンデマンド)などの動画配信サービスに変革することが該当します。
上記のIT化やデジタイゼーションがデジタライゼーションを実現し、デジタライゼーションがDXを実現するという構図をイメージするとよいでしょう。
UX/CX
DXと印象がよく似た「X」のついている略語に「UX」や「CX」があります。これらのXはDXとは異なり「eXperience(=経験)」という単語を略したものです。
UXはユーザーエクスペリエンス(User
eXperience)のことで、商品・サービスを通じたユーザー体験を指します。「使いやすさ」「受けた印象」「心の揺れ」など、ポジティブ・ネガティブに関わらず全ての感想や体験が当てはまります。
例えば「Webサイトの文字が大きくて見やすい」「入力フォームがエラーになり使いにくかった」といった感想や体験もUXです。
CXはカスタマーエクスペリエンス(Customer
eXperience)のことで、直訳すると「顧客体験」となります。
一見してUXとの違いがわかりにくいですが、UXが商品・サービスに対する部分的な感想・体験だとすると、CXは商品・サービスから受ける全体の感想・体験を指すため、CXはUXより広い範囲を意味するといえます。
DX推進のメリット
DX推進を実現すると、企業にとってさまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットについて解説します。
市場や環境の変化に適応しやすい
近年、日本では気候の変化などの影響によって自然災害が起こる頻度が上がっています。さらに地震大国である日本にとって、想定外の事態によって事業が停止するリスクを回避することは、企業にとって重要な経営課題になっているといえるでしょう。
DXを推進してデータの二重化やITシステム導入によるテレワークが可能な環境を構築しておけば、自然災害などが原因で市場や環境が大きく変化しても業務を継続でき、経営への影響を最小限に抑えることが可能です。
このように、DX推進はBCP対策としても効果的です。
生産性が向上する
DXを推進する際に、自社の業務フローを洗い出して無駄が発生している部分や改善できる部分を探し出すプロセスを通過します。このプロセスにおいて、業務改善や自動化を行うことで無駄な業務が整理され、生産性の向上が期待できます。
無駄な業務に割り当てられていたリソースは社内のより重要な業務に再割り当てできるようになり、企業のさらなる成長が期待できます。加えて、業務フローの洗い出しによって業務改善を実現できれば、従業員の労働負担軽減にもつながります。
新商品やサービスの開発につながる
DX推進の一環として、ITを活用した顧客情報の収集・分析を行うことも少なくありません。
「顧客はどのような商品を求めているのか」を分析することは、ニーズを満たした商品を市場に送り出す上で必要不可欠です。収集した顧客情報を分析して市場や顧客のニーズを正確に捉えられれば、顧客が求めている新商品やサービスを開発でき、企業の成長や顧客満足度の向上が期待できます。
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DXに取り組むにあたっての注意点
DX推進に取り組むにあたって、知っておきたい注意点をご紹介します。
経営層から現場までDXを理解する
経営層から現場の実行者一人ひとりまで、DX推進に対する理解浸透が欠かせません。DXの本質を知らずにデジタルツールを取り入れるだけでは、単なるIT化に過ぎないからです。
DXがもたらす好影響や、DXに取り組まないことがどれほどの損失につながるかなど、DXに関する基本的な認識を正しく持つことが重要です。
DXによって実現したいビジョンを明確にする
DX推進は、社内の既存システムを刷新し新たな価値創造を図るというドラスティックな改革が伴います。そのため、経営者自身がDXによって未来創造をする「ビジョン」を明確に打ち立て、現場の一人ひとりまで全社を統率しなければなりません。
DXによって自社をどう変革するか、そのために何が必要なのか、そしてどのような新たな価値を社会に提供できるかといった目指す姿を明確にし、その方針のもと綿密な戦略や組織体制を構築していきましょう。
DX人材登用も同時に取り組む
DXの理解やビジョンの共有が全社的にうまくいっても、実際にシステムの開発・運用・保守管理を外部ベンダーに丸投げするのでは意味がありません。社内にDXについての技術やノウハウが蓄積されず、常にスピーディーに変化していくデジタル社会から取り残されてしまう恐れがあるためです。
こういった課題を回避するためには、専門のベンダーと渡り合えるようなデジタル技術に精通したDX人材を自社でも確保して育成していくことが重要です。
すでに少子高齢化によって労働人口が減少している上に、日本企業の多くが2025の崖を目前としている今、社会全体のDX人材の不足も深刻化しています。社内にDX人材が不足している場合は、早急に採用・人材育成に乗り出す必要があるでしょう。
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まとめ
DX推進は、業界・業種問わず日本企業にとって喫緊の課題です。競合他社の動きを見計らっていると経済社会のスピーディーな変化に乗り遅れる恐れがあります。
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DX推進の足がかりとして、ぜひご検討ください。
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