販管費とは?
販管費削減の方法も解説
こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
販売管理費とは賃借対照表で目にする言葉ですが、きちんと意味を理解している方は少ないのではないでしょうか。今回は販売管理費の内容や混同しやすい売上原価との違い、さらに販売管理費用の削減方法についてご紹介します。
詳しく知りたい方はこちら!
この記事の目次
販売管理費とは
販売管理費とは、「販売費及び一般管理費」の略称です。さらに短縮して「販管費」と呼ばれることもあり、よりわかりやすく言い換えると「製品の販売にかかる売上原価以外の費用」を指します。
販売管理費について、わかりやすい例をあげてご説明します。
たとえば、コーヒーを1杯200円で販売したとします。
コーヒー1杯を売るのにかかった費用は、「コーヒー豆代」「コーヒーを売る人の給与」「コーヒーを売るための店舗賃貸費」「コーヒーを売るのにかかった光熱費」「コーヒーを世間に知ってもらうための広告費」となります。さらにいえば、「帳簿に使う文房具」「営業マンの交通費」などもあげられます。
このうちで販売管理費は「コーヒー豆代」以外の部分です。
売上原価との違い
コーヒー豆代以外が販売管理費であるなら、コーヒー豆代は何と呼べば良いでしょうか。 コーヒー豆のような、製品の仕入れや材料にかかったコストは「製造原価」です。さらに製造原価をかけて売れたコーヒーの原価は「売上原価」と呼びます。
たとえば、200円のコーヒーを作るのに20円の製造原価がかかっていたとします。そのコーヒーを100杯作ると、製造原価20円×100杯=2,000円の支出です。ところが実際に売れたのは半分の50杯ほどでした。
売上原価は実際に売れた50杯にのみにあてられる数字であるため、このコーヒー屋の売上原価は原価20円×売れた50杯=1,000円となります。
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販売管理費の具体的な内訳
販売管理費は販売費と一般管理費の2つにわけられます。この2つは勘定項目が被る部分もありますが、こまかい内訳を見てみると中身が違うことがわかります。
販売費
販売費の内訳の目安は、製品・サービスを販売するのに「直接かかる費用」と考えてください。たとえば、「営業マン・販売部門の給与」「広告費」「製品の運送費や営業マンの交通費」「販売の際にシステム決済や代理人・仲介人への手数料」などがあげられます。
一般管理費
一般管理費は製品の販売に直接関わらないものの、企業全体の運営に必要な経費を指します。
たとえば、「経理や総務への給与」「光熱費」「保険料」「通信費」などがそうです。販売には大きくは関わらないとしても、保険料や光熱費がなければ製品を売るための人材も集められずオフィスをまわすこともできません。「販売を管理するためのものにかかる費用」と捉えるとわかりやすいでしょう。
人件費の扱いについて
販売管理費のほとんどが人件費となります。しかし人件費は場合によって「売上原価」と計上されることも珍しくありません。
たとえばコーヒーを販売する企業からすると、コーヒー豆を加工する工場に勤める人の給与も原価の一部であり、売上原価で計上する場合もあります。
人件費が必ずしも販売管理費となるわけではないため、注意が必要です。売るものや業務形態によって、人件費は製品の原価としてみなすことがあると覚えておきましょう。
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販管費率の計算方法
販売管理費率の計算方法は、
販売管理費÷売上高×100
となります。
販管費率が低ければ低いほど、経費をかけずに売上は伸びます。販管費率を下げるには販売管理費の数値を下げるか、売上の数値をあげる必要があります。そのため企業は、いかに経費を使わずに売上を伸ばすかの戦略を立てなくてはなりません。
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販管費率の分析の仕方
販管費率の分析の仕方についても確認しておきましょう。分析を正しく行うことで、企業利益を守ることができます。
当期の数値を計算する
まずは当期の売上高と販売管理費、営業利益を計算します。販売管理費は手数料や給与、運送費など細かく分けて数値を出します。
続いて内訳の数値が売上高に対して何%なのか計算をします。するとどの項目が売上高に対して高い比率なのか把握できます。高い数値の部分は、削減すべきところがないかを見直しましょう。
前期の数値と比較をする
さらに前期も同じように、売上高に対するそれぞれの販管費率を出します。前年比と比較をすると、中には数値の差が激しい部分があるかもしれません。
その結果赤字になったのか黒字になったのかをもとに「なぜそうなったのか」「対策方法はあったのか」など、こまかな分析を行い次期に備えましょう。
販管費を削減する方法
販売管理費の削減方法はさまざまです。まずは効果の大きなもので実現できそうなものから順に試していくことが大切です。ここでは、削減方法の例をご紹介します。
諸経費
製品の売上を維持するのに必要だと思われていた費用の中には、削減できるものもあります。
たとえば、接待費や交通費などです。経費で行われる宴会や飲み会を減らし、営業マンには燃費の良い社用車を支給することで削減が可能です。
諸経費を見直し、不要なところは削るようにしましょう。
人件費
もっとも効果が高く、もっとも実現が難しいのが人件費の削減です。従業員給与の削減や雇用解除を行うのはリスクが高いため、まずは経営陣の給与の調節から行います。
オフィス家賃
近年ではネット販売やリモートワークがすすんでいるため、店舗やオフィスに足を運ぶ人も少なくなっています。よほど立地にこだわりがあるのでなければ、オフィスを賃料の安い場所に変えるのもひとつの案です。現状のオフィスの必要性を見直し、オフィス家賃を調整してみましょう。
水道光熱費
販売管理費の継続的な削減につながるのは、水道光熱費の節約です。たとえば「照明を省電力・長寿命のLED電球に変える」「水道に節水弁を取り付ける」「電気やガスの事業者を見直してより安値のプランに乗り換える」などの方法が考えられます。
関連記事はこちら原価管理の基礎知識|必要な理由や管理の流れ、課題の改善法とは
経理業務のクラウド化で効率UP
販売管理費に当てはまる会計項目は数が多く、処理が煩雑になりがちです。クラウドタイプの経理システムがあれば、販売管理費の効率的かつ正確な会計処理が可能になります。
タイムリーに会計情報を収集できる
クラウドタイプのシステムは、インターネット環境が整ったデバイスであればどこからでもアクセスできるので、会計に関わる情報をタイムリーに記録できます。テレワークなどでオフィスに出社していない期間でも記録業務を先送りせずに実施できるので、販売管理費に関する課題を放置せずに済みます。
バラバラに管理していた情報を一元化できる
部署や拠点ごとにバラバラに管理している会計情報を収集して決算書を作成するのは大変な手間がかかり、取りまとめを行う経理部門は決算期に業務が集中してしまうというケースも多いでしょう。
個々の会計業務をクラウドシステムに記録していけば自ずと一元的にデータが蓄積していくので、結果的に決算書作成のために取りまとめる時間が短縮できます。利用者によって編集や閲覧といった操作・アクセス権限を設定したり、ログイン履歴などを管理したりできるのでセキュリティ面でも安心です。
会計管理にかかるコストをカットできる
手書きやエクセルを利用した会計管理には、経理担当者の豊富な経験や高いスキルを要します。オンラインの経理システムを導入すると工数が大幅に少なくて済み、経理業務の負荷が軽減します。加えて、各拠点に必要であった経理担当者の人材にかかるコストの削減も期待できます。
販売管理費は事業の全ての部署に関係する重要な投資項目です。やみくもにカットするのではなく、企業の成長とのバランスを鑑みることが重要です。会計情報をタイムリーに分析して経営状況を可視化する機能があるシステムなら、経営見直しのために外部コンサルティングを依頼する必要がなくなる場合もあるでしょう。
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まとめ
今回は販売管理費について、計算方法や削減方法などをご紹介しました。
販売管理費は、企業が正しい投資をしているのかを判断する材料となります。販売管理率を明らかにし、不要・必要な費用を洗い出し企業利益を促進しましょう。
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- 株式会社ラクス「楽楽販売」コラム編集部
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