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歩引きは下請法で規制されている!
仕組みや代表的な違反事例を紹介

歩引きは下請法で規制されている!仕組みや代表的な違反事例を紹介

こんにちは!「楽楽販売」コラム担当です。
従来の商慣習では「歩引き」や「リベート」と呼ばれる取引方法が一部の業界で常態化していましたが、現在では歩引きは下請法によって規制されています。今回は、歩引き取引が生まれるに至った背景や、歩引きの具体的な違反事例などについて解説します。

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この記事の目次

    歩引きとは

    歩引き(ぶびき)とは、売掛により信用取引を行うにあたって、下請けからの請求金額に対して買主が一定の割引をした 金額を支払う行為を指します。 割引が行われる理由はさまざまですが、例えば「支払い期日より早く代金を支払う代わりに、請求金額を割り引くケー ス」などがあります。

    歩引きは資金繰りなどの関係で支払期日よりも早く売掛金を現金化したい企業が行う手段のひとつで、従来の商慣習においては一般的に行われていました。

    「リベート」や「本部手数料」のような表現も

    歩引きは場合によって「リベート」や「本部手数料」のような表現が使われることもあります。
    企業が現金化を早めるために取引先に代金の一部を割引するという意味ではほとんど同じような使い方をされていますが、リベートは「一旦支払った代金の一部を割り戻してもらうこと」であり、本部手数料は「あらかじめ定められた割合の手数料を支払うこと」という意味をもっています。

    リベートはメーカーや卸が自社の販売に協力してくれた業者に報奨金として支払うものであり、本部手数料は商品の販売にあたって本部が仲介してくれたことに対する手数料なので、厳密には少し違いがあります。

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    歩引き取引の仕組み

    歩引き取引の基本的な考え方は、「支払期日よりも早く代金を入金してもらう代わりに、請求金額に対して一定の割引をすること」であるのは先述の通りです。
    ここでは、さらに詳しく歩引き取引の仕組みをみていきましょう。

    歩引き取引を行う場合、商品を販売した業者側が請求した金額に対して、取引先は一定割合を差し引いた金額を支払います。例えば、1個500円の商品を業者Aが販売したとき、商品を購入した業者Bは1個あたり480円の金額を支払う仕組みです。
    一度代金を支払ってから還付されるような形ではなく、あくまでも代金を支払う段階で割引された金額を入金します。

    なぜ歩引き取引が生まれたのか

    最初に歩引き取引が生まれたのは、仕入れた反物をすぐに現金化するのが難しい繊維業だったといわれています。現金化が遅れると商品が売れていても資金繰りが苦しくなるため、店側が少しでも現金化を早めるための工夫として編み出されました。
    店側は現金をすぐに手元に入れることが可能になり、購入側も代金が安くなるため、双方にメリットがあると考えられていました。

    歩引きの条件は交渉次第

    歩引きの条件は取引を行う業者間の取り決めによって異なるため、交渉次第でさまざまな条件があります。
    例えば「〇万円以上の取引で支払期日より〇日早く入金してもらえるなら、一律3%の割引を適用する」「現金で支払う代わりに、銀行振込の手数料は負担する」など多種多様な条件があり、取引の内容などによって大きく異なります。
    対象となる売上金額が大きければ値引き率を引き上げるなどのケースもよくみられました。

    歩引きは下請法で規制されている

    ここまで詳しくお伝えしてきた歩引きですが、現在では下請法によって厳しく規制されています。
    下請法とは「下請代金支払遅延等防止法」という法律のことで、下請法では歩引きにみられるような方法で下請代金を減額することは禁止されています。

    もし下請法に違反して歩引きを行った場合は、下請法4条1項3号の禁止事項に該当するものとして処罰の対象となる可能性があります。

    下請取引の該当基準

    下請取引に該当するかどうかは、「資本金規模」と「取引内容」の2つの観点から判断されます。

    資本金規模が「3億1円以上」に該当する企業の場合は、「資本金3億円以下の取引先」が下請取引の対象となります。また、このときの取引内容は「製造委託、修理委託、情報成果物作成委託(プログラム等の制作)、役務提供委託(物品の運送・倉庫保管・情報処理)」のいずれかが該当します。

    同じように、資本金規模が「5,000万1円以上」に該当する企業の場合は「資本金5,000万円以下の取引先」が下請取引の対象となり、資本金規模が「1,000万1円以上」に該当する企業の場合は「資本金1,000万円以下の取引先」が下請取引の対象です。このときの取引内容は、「情報成果物作成委託(プログラムの制作は含まない)、役務提供委託(物品の運送・倉庫保管・情報処理は含まない)」のいずれかになります。

    これらの条件に該当した場合は、下請法違反となります。さらに、下請業者の同意を得ずに振込手数料を差し引いたり、同意を得ていたとしても振込手数料の実費以上の金額を差し引いたりすることも違反の対象です。

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    歩引きの具体的な違反事例

    最後に、歩引きの具体的な事例をご紹介します。

    衣料品の下げ札をはじめとした服飾副資材を扱う業者Tは、公正取引委員会によって下請法違反による再発防止の勧告を受けました。資本金規模1,000万円以下の下請事業者24社に対し、総額2,000万円強を差し引いて支払う「歩引き取引」を行っていたことが原因です。
    該当期間は2019年11月から2020年10月までで、該当の減額分については2020年末までに支払いを完了しています。

    まとめ

    請求代金から一定の割合を差し引いて入金する歩引き取引は、過去によく行われていた取引方法ではありますが、現在では下請法によって厳格に規制されています。続けていると公正取引委員会による勧告の対象になったり法律によって処罰されたりする可能性があるため、くれぐれも行わないように注意しましょう。

    自社が販売側であっても購入側であっても、下請法に該当する取引があるかどうかをあらかじめ確認しておくことによって、歩引き取引を意図せず行ってしまうリスクを回避できます。下請法の条件を把握しておき、取引を健全化できるようにしておくことをおすすめします。

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    ポイント

    記事執筆者紹介

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